General Commission Recommendationsは委員会の一般的提言で良いだろうか?
「指針となる考察」と「ツイントラックアプローチ」から構成されている。
「指針となる考察」には5つの項目が設けられている。一つずつ見ていこう。
<Calibrated ambition 計算された大志(?)>
英国単独ではなく同盟国とともにインド太平洋で活動すべきで、米国がインド太平洋の主人公である。英国が過度に関与してると思われないようにすべし、という箇所は日本の責任を感じてしまうのは私だけであろうか?
具体的には次の2点を挙げている。
A. 英国が主導する著名で信頼性の高い新しいプロジェクトやイニシアティブとともに、この地域に 対する英国の大規模かつ永続的なコミットメントを示すこと。
B. この地域における既存の勢力構成、利害関係、国家的視点について現実的であること。
そして英国の役割として東インド洋、すなわちチャゴス諸島の事だと思うが、英国が土地を提供する形で米軍基地があるのだが、そこでの英国の役割を強調。さらに大志、野心として次の表現が興味深い。国際司法裁判所で敗訴したチャゴス諸島の件だと思われる。この件は他の部分で取り上げられている。
"an ambitious goal requires simply a powerful, capable, globally active power with the vision and the willingness to harness the self-interest of independent Indo-Pacific Region nations in mutually beneficial initiatives."
<確固たるコミットメント>
英国は長年明確なインド太平洋地域へのコミットメントを示していなかったので関心がないという誤解を与えてしまった、という箇所はBrexitに繋がる英国の外交政策の失敗が見えてくる。
"years of quiet diplomacy and partnership were underplayed, leading to the mistaken impression that Britain had completely disengaged from the Indo-Pacific"
そして政府として正式な委員会を設置せよと下記の2点を提案している。
- 政府は、正式な英国のインド太平洋戦略を発表すべきである。
- 政府は、新しい英国のインド太平洋地域への包括的なアプローチには省庁横断的な必要性 があることから、首相を議長とする国家安全保障会議のインド太平洋小委員会を設置すべきであ る。
<米国との調整>
インド太平洋、特にインド洋においては米国との協力関係が重要であるとの認識。日本が先の対戦でインド太平洋から追い出した英米の協力枠組みの強化、とも言えよう。あの戦争は日英戦争だった。
- インド太平洋地域における協力の強化について、一貫して米国に働きかける。
- ワシントンがあまり関与していない、関与していない、あるいはさらなる支援を必要としている問題や分野を特定する。
- 米国とのパートナーシップを強化し、インド太平洋地域全体の安定を確保することを目指します。
<重要な同盟国やパートナーとの調整>
英国が重要なパートナーとしているのがファイブアイズの他に日本とインド。
カナダと英国が、G7、ファイブアイズの情報同盟、NATO、英連邦のメンバーである唯一の二国である、というのは興味深い。
ニュージーランドはファイブ・アイズと FPDA の同盟国。太平洋の島国、特にフィジーやパプアニューギニアのような英連邦加盟国に関連した問題の共通関心。
肝心の日本は、アジアにおける英国の最も近い安全保障パートナー。2020年9月の日英自由貿易協定の調印後は重要な貿易パートナー。インド洋西部での海賊対策、地域的・世界的な災害救援活動で協力してきた歴史。ハイテク防衛産業の協力、英国海軍と日本海上自衛隊は米海軍 との共同協力。
インドの関係は歴史的に複雑である、と始めている。インドは英国との大規模な「リセット」の余地がある、とし、インドが南アジアの防波堤、インド洋に面した大国として、インド太平洋地域の安全保障パ ートナー、主要な貿易パートナー(特に技術分野)になる可能性を秘めている 。
最後に英国が最も野心的な共同イニシアチブを提案し、この地域全体で最も広範な関与を展開したいと考えている国は、このファイブアイズ+日本インドである、と結ぶ。
<柔軟なパートナーシップ>
英国のインド太平洋戦略は、地域活動として以下のような国々と協力。
自由民主主義国
地政学的に整列している他の国々
国々の誠実さと継続的な独立性、
国家目標を追求するためのルールに基づいた秩序を重視
A “variable geometry” of larger and smaller states の用語が興味深い。英国の植民の歴史を知れば小国との関係を重視するはずだ。そして a free association of partnerships。出ました!自由連合、とい印象です。
FCDO(Foreign, Commonwealth & Development Office)と国防省が幅広いイニシア ティブに取り組む、とあるがどこの国も外務省と国防省は犬猿の仲。英国はいかに?
委員会の一般的提言、もう少しあるが次回に・・