インド太平洋研究会 Indo-Pacific Studies

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A Very British Tilt 英国のインド太平洋政策サマリー(5)優先分野の特別提言

https://policyexchange.org.uk/wp-content/uploads/A-Very-British-Tilt.pdf

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一般的な提言の次にあるのが、この報告省の中で一番分量のある優先分野における特別な提言である。以下の5項目だが、一つずつ見ていきたい。

  1. trade and technology

  2. diplomacy

  3. governance cooperation

  4. climate change and environmental protection

  5. security cooperation

一つ目の「貿易と技術」に重点が置かれている。

 

「グローバル・ブリテン」が今後 3 年以内に英国貿易の 80%をカバーする自由貿易協定の締結。これは英国の戦略的・地政学的機能を強化。

 

金本位体制の FTA を追求。世界貿易連合の構築
豪州、NZとのFTA交渉は、世界第3位の日本と第6位英国の経済大国をつなぐ

太平洋横断的パートナーシップ(CPTPP)への加盟に対 して日本の最大限の支持を確保

デジタル分野のサービス貿易に焦点。

 - データ貿易を保護するためのインド太平洋地域社会を創設

 - ニュージーランド、チリ、シンガポールによって設立された CPTPP とデジタル・エコノミー・パートナーシップ協定(DEPA)
 - 世界的な金融ハブとしてのロンドン市がインド太平洋地域を世界の金融システムに統合できる
 - 英国の強固な貿易プレゼンスは、北京を中心とした貿易・投資 ネットワークBRIに対抗

 

インド太平洋投資メカニズムと条約
中国の投資と北京の資本の流れの展開方法の両方に対する長期的な代替手段としてのインド太平洋投資メカニズム(IPIM)を確立

ロンドン国際仲裁裁判所がインド太平洋関連の仲裁手続きのハブに
- 投資家の信頼感を高め、欧米系金融機関からのインド太平洋地域へのFDIを強化するインセンティブを生み出す。
- アジア企業のロンドン証券取引所への上場を促進する。
- 英国やその他の国の中央銀行に対し、インド太平洋地域関連のビジネス・プロジェクトへの融資、特に集団投資条約が締結された場合には、資本要件を緩和するよう働きかける。

- BRIやインフラプロジェクト、補助金付き融資、その他の形態の地域の金融活動を追跡


戦略的レジリエンス・イニシアティブ
レジリエンスに焦点を当てたアプロー チで、インド太平洋地域の経済の未来を支援
- オーストラリア、インド、インドネシア、日本、マレーシア、韓国を含むインド太平洋地域で、「戦略的レジリエンス・イニシアティブ」(SRI)を設立
- 例えば、国民の医療システムのレジリエンス優先事項として、個人用保護具、医薬品、主要医薬品、複雑な検査機器や生命維持機器などの医療品

- 米国、オーストラリア、日本の「ブルー・ドット・ネットワーク」との共有プロジェクト
-中国製造業への過度の依存から脱却し英国および同盟国のサプライチェーン脆弱性を軽減

 

フィンテック成長プラットフォーム
- 金融技術の世界的リーダーである英国

- 中国は巨大な技術巨人に支えられた新たな競争相手
- 「フィンテック・ブリッジ」(フィンテックの開発を奨励するための、2つの国の政府とそれぞれの関連規制機関との間の二国間協定)を10件締結

- 他のインド太平洋地域諸国特にインドとの間で新たなフィンテック・ブリッジを設立
- 「金融技術成長プラットフォーム」(FGP)によるAPIエコシステム(デジタル・アプリ同士の相互作用を可能にするデータ・アクセス・ルールやプログラミング・プロトコル)の支援- - - FGPは、汚職、詐欺、マネーロンダリングへの取り組みに関するインド太平洋地域諸国との協力を支援
- FGPのよるマイクロファイナンスのためのフィンテックへのアクセス、世界の金融コミュニティとの統合、南アジア、東南アジア、オセアニア発展途上国への支援

 

自由でオープンなインターネット・イニシアティブ
- 「自由で開かれたインターネット・イニシアティヴ」(FOII)を提案

- インド太平洋地域のためのサイバーセキュリティ法

- 中国共産党の監視・検閲体制を可能にする技術的な専門知識を近隣諸国に輸出しようとしていることを是正

- FOIIは、データ・プライバシー、反検閲プラットフォーム、市民社会団体のためのインターネット・アクセス、などの問題に取り組む。

- FOIIは、インターネットの自由について各国政府を教育し、個人やグループの監視を強化するためにインターネットを使用することを阻止する。

 

宇宙技術同盟
- 英国は欧州宇宙機関ESA)を通じた欧州の協力に過度に依存。
- ESAEUの機関ではないが、その主要プロジェクトのほとんどはEUの資金援助を受けている

- ESAが徐々に空洞化していくという長期的なリスクが高まっている。

- 英国が主導する新しい「Space Technology Alliance」(STA)を設立の可能性

- 南アフリカのような英連邦諸国や、UAEのような湾岸諸国にも開かれたもの
- STAは科学的応用、民間応用、防衛・安全保障の分野において野心的な宇宙プロジェクト推進を可能に。

-安全保障の宇宙協力として、グローバル航法衛星システム、宇宙監視インフラ、信頼できる主権国家間で共有される機密性の高い宇宙システム。