インド太平洋研究会 Indo-Pacific Studies

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A Very British Tilt 英国のインド太平洋政策サマリー(3)戦略ビジョン

https://policyexchange.org.uk/wp-content/uploads/A-Very-British-Tilt.pdf

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どこかの大学生さんがサマリーをやると手をあげてくれたので待っていたが梨の礫。もしかしたら作業の途中かもしれないので、そこを飛ばして次の章から粛々とまとめていきたい。

気になった箇所だけ書き出したい。

 

rules-based、rule-governed の箇所は香港やコロナの事を意識してであろうか?東アジアサミット機能を評価している。

A strengthened rules-based Indo-Pacific order requires an enhanced form of association and communication that builds and improves upon existing regional institutions, like the East Asian Summit mechanism, as well as creating new ones where there is an obvious need for an enhanced, rule-governed level of regional coordination.

 

他方、中国に特化したインド太平洋ではなく、東アジアサミットのような全体的な枠組みを提案している。

The UK national interest thus requires a strategy towards the Indo– Pacific region as a whole that avoids a too narrow focus on China.

 

米中対立を支持しなが、かと言って中立をたもつわけでも、小国の非同盟を組むつもりはない。ということは米国側に立つ、という事であろう。

At the same time, the UK Government cannot take a value-neutral position between Beijing and Washington, nor should it see itself as leading a new “non-aligned” movement of smaller states in opposition to the two great powers of the region

 

20世紀の西太平洋憲章に続いて21世記のインド太平洋憲章を、と提案されている。このインド太平洋憲章こそ、この報告書の真髄ではないだろうか?

大西洋憲章の航行と飛行の自由を守るための安全保障上の行動規範は80年を経て経済近代化に貢献し、インド、日本、英連邦の小さな加盟国であるフィジーなど、インド太平洋地域の多数の国が支持、と評価した上でインド太平洋憲章七原則を下記の通り提案している。

 

第一に、インド太平洋のいかなる国も、領土その他の譲歩を求めないこと。
第二に、関係諸国民の自由な意思表示なしに、また武力の行使をもって、インド太平洋の領土変更を行わないこと。
第三に、いかなる国も、貿易を含む平和的な目的のために、インド太平洋の公海/グローバル・コモンズへの自由かつ完全なアクセスを、他のいかなる国からも妨げられないこと。
第四に、いかなる国も技術的手段を用いて他国の国内政治、社会、経済秩序を妨害しないこと。
第五に、いかなる国も、公私を問わず、他国の政府、企業、国民からデジタルIP情報を不法に取得しないこと。
第六に、インターネットや海底ケーブルなどの電気通信技術の利用が、インド太平洋諸国間及びそのすべての国民に対して自由で開かれたものであり続けること。
第七に、インド太平洋諸国間の金融援助や貿易を含むすべての経済協定は、インド太平洋諸国と国民の経済的・政治的主権、 進出、福祉を確保するために、世界最高水準の透明性と公正な融資慣行を遵守すること。

 

注意書きに大西洋憲章の一部を引用しその正当性を主張しているようなんだが、大西洋憲章の批判的議論もあったはずである。上記一の原則に従えば北方領土などはどうなるのであろうか?

7原則中2原則がインターネットというのが興味深い。英国は長年通信の独占体制を維持してきたのである。