インド太平洋研究会 Indo-Pacific Studies

現代版IPR インド太平洋研究会へようこそ

日本近代教育制度:教育会から戦後へ

明治維新以降の日本の教育制度・運営に「教育会」という存在があり、戦後あまり研究されて来なかったようだが、梶山雅史教授の主導で過去20年近く活発な議論が、研究会が、そして著書が発表されたことを知った。スペースで語ってきた。

図書館に一度返すこととした2冊。いつかまた手に取りたい。

この教育会は、京都市のように消失したものもあれば信濃教育会のように継続しているものある。ふと、戦後の教育委員会やPTA、日教組に引き継がれているのではないかとウェブサーチしたらこの3組織はGHQのご指導の下にできたことをウィキで知った。

1946年(昭和21年)の春、連合国軍最高司令官総司令部GHQ/SCAP)の要請によりアメリカ合衆国から派遣された教育使節団が作成した報告書、アメリカ教育使節団報告書(第一次報告書)が発表された。同報告書では、PTAに直接言及はないものの、いくつかの箇所でPTAの理念に及ぶ考え方が示された。また、1947年(昭和22年)4月には、極東委員会も「日本教育制度改革に関する指令」を定め、PTAが民主主義教育推進のために積極的な役割を果たすことを期待し、勧奨した

ウィキより

第二次世界大戦後に日本占領下に置いた連合国軍最高司令官総司令部(SCAP)は、学校教育の改革政策として「民主化の一環」として1945年12月に教員組合の結成を指令した。既に11月には京都徳島教職員組合が結成されていた。12月には全日本教員組合(全教。翌年より「全日本教員組合協議会」)が、また翌年、教員組合全国同盟(教全連)が結成された。

ウィキより

連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ/SCAP) 要請で、アメリカ合衆国からの教育使節団が、1946年(昭和21年)3月5日・7日に来日、同年3月30日に第一次アメリカ教育使節団報告書が提出され設置勧告をされた。そこで文部省は1948年(昭和23年)に教育委員会を設置した。この制度は、教育行政の地方分権民主化、自主性の確保の理念、とりわけ、教育の特質に鑑みた教育行政の安定性、中立性の確保という考え方のもとに、教育委員会法によって創設された。地方自治体の長から独立した公選制・合議制の行政委員会で、予算・条例の原案送付権、小中学校の教職員の人事権を持ち合わせていた。

ウィキより

ここにある第一次アメリカ教育使節団報告書は文部省が和訳し、オンラインで読めるが100ページほどある。ウェブサーチすると以下の論文を見つけた。10ページ弱なので読んでみた。

土持 ゲーリー法一『第一次米国教育使節団報告書』の作成経緯に関する考察 : 日本側教育家委員会の役割』 国士舘大学 1985 年 28 巻 p. 76-91 日本の教育史学

 

何にも知らない、米国使節団は日本の教育専門家の意見を得て、日本の近代教育制度の歴史を学び、日本人の主体性を尊重した教育制度を提案しようとした、らしい。面白いこの論文。

来日した使節団は以下の認識があった。実にまともな米国人がいたのだ。

・日本人には民主的傾向が潜在している

・我々は日本人に導入すべき理想的な教育制度をもっていない 

 

他方若くてバカな米国人もいたようだ。

アメリカからこの国にやって来た若い理想主義者の中には日本を実験国 (Laborator)yと考え、本国でも実現されていない自国の理想の実験を性急に試みるものがいます (後略)」と使節団が書いている。

 

米国の提案が列挙されているがこれが興味深い・・

・学閥の原因である旧制高校の廃止

そして笑っちゃうのが 「この改革案は約100名の実業家、専門家、教育家たちによって、おおよそ10年前に計画された案にもとついたものである」 要は日本案だったってこと!

(この日本案は1937年の教育改革同志会案)

米国使節団のヒルガード団員は六・三・三制の問題に関連して、これが「勧告されるに至った背景は使節団が望んだからというよりも、むしろ日本側からの意向が強かったからだというふうに理解しております」と報告している。

 

中学生だった私が国会議員だったおじさんに「国会議員として何をされたのですか?」と聞いた時「6・3・3制作ったんだよ」と言っていたからこの委員会との接点もあったはずだ。このおじさんは水産庁設立にも関わっている。

 

横井小楠殉節の碑を建立した「教育会」から出発して、戦後の教育制度改革まで飛んだ。この数日随分勉強した。戦後、日本の教育制度は米国の影響というより昭和研究会につながる日本側の研究者、教育者たちが1930年代後半に作成していた。 昭和研究会の軍備とのつながりが、国家総動員ファシズム教育に加担することになったようだが、これはまた関連論文を読み込まないとならない。