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インド太平洋ポッドカフェ12月14日<ドイツのインド太平洋政策報告書ゲストDrPhilip Shetler-Jones>

ドイツのインド太平洋政策に関してDr Philip Shetler-Jones を PodCafeお招きすることが決まりました。
というか知り合いの彼がドイツの元外相とか、元大使とかビッグネームに声をかけてくれていたのですが、なかなか決まらず、私から彼にお願いし、了諾いただけました。
以前、ジュネーブに来たらランチをおごるよ、と言われてランチ食べにジュネーブまで行くかどうか迷った方です。
キープインタッチしておりましてダイヤモンドプリンセスの件で日英関係がおかしくなりそうな時二人で工作活動をしジョンソン首相から安倍首相あてにて手紙を出させました。(サラッとすごい話をバラした)
Dr Philip Shetler-Jones ー ググると色々出て来ますが、英国のアジア回帰を早くから主張してきた方です。英国人です。最近ジュネーブWEFからベルリンのGIZに。コメントは個人の立場からです。報告を事務局の澤間様にお願いしています。
 
Dr Philip Shetler-Jones - Honarary research fellow at the University of Sheffield School of E. Asian studies, and have been studying Japan and its foreign policy since the late 1990s, doing PhD on Japan's defence and security policy in 2010. He write and blog about the UK-Japan defence and security relationship at "Anglo Japan Alliance" as well as writing on European security issues, especially towards Asia. 
 
He has been employed by the German organization GIZ on the project "Enhancing European Security Cooperaiton in and with Asia" since July 2020, but he was appearing on the podcast purely in a personal capacity, so he is not speaking as a representative of Germany or GIZ, but as an interested commentator. 
 
<報告>
 インド太平洋に関する海外の関心は2012年に安倍晋三氏が『セキュリティーダイヤモンド構想』としてNPO団体PROJECT SYNDICATEに発表した英語論文に端を発したと言っても言い過ぎでは無いと思う。そもそもこの地域への安倍氏の当該構想は2006年の安倍氏の著書『美しい国へ』の中でも述べられている通り、当時のオーストラリア、インド、日本、米国の四か国による安全保障連携構想が土台になっており、第一次安倍内閣時の2007年8月、マニラで開催された日米豪印戦略対話で具体的に話し合いがなされた結果、同年9月に沖縄沖合で行われたマラバール海軍演習に日本が正式参加する事で具体化されたと言って良いであろう。  
 その背景にある国際政治の課題として一番に挙げられるのが、中共建国以来の100年マラソンと言う長期国家戦略と、それに則った、習近平政権による一帯一路(陸上の一帯と海上の一路)と言う言葉で表現された、領土領海の拡張と経済圏拡大を図る覇権強化政策の存在だろう。当然それを抑止したい自由陣営とのせめぎ合いは激化した訳だ。  2012年には南シナ海への中共の脅威が既に大きくなり、2013年には中共ジョンソン南礁赤瓜礁)を埋め立てている事が露見された。
 こうした状況下で、2015年には米海軍により『航行の自由作戦=FONOP)』が実施され、2017年5月には日本もヘリ空母一隻&駆逐艦2隻を派遣、2018年4月にはオーストラリアが同海域へ艦船を派遣し、同年11月にはマニラで、日本、米国、オーストラリア、インドの四か国の代表が集まり『インド太平洋において法律に基ずく自由で開かれた国際秩序を確立する為の措置』が議論された。
 その後2018年6月シンガポールで開催されたアジア安全保障会議ではフランスのパルリ軍事大臣が『フランスとインド太平洋に於ける安全保障』を発表、後を追うように、2019年6月に米国国防省が『インド太平洋戦略レポート』を発刊している。  こうした経緯を踏まえると、ドイツが遅ればせながら2020年9月に『インド太平洋政策ガイドライン』を発表して、こちらの陣営に属する旗色を鮮明にしてくれたのは心強い。
 しかしインド太平洋海域を巡る当該地域戦略の要にあるのは安全保障であり、具体的には『対中共の覇権拡大抑止』にある事は言を待たない。メルケル政権の過去の親中政策と中共との経済関係の結びつきを考慮すると、英国やフランスほどの貢献度を期待するのは困難と思われるが、第一次大戦以前にはドイツは南太平洋に大きな領海を有し、現在の島嶼国を統治していた経験がある訳であり、その経験を生かした、単なる軍事だけではない、別の視座からの安全保障戦略強化のための付帯戦略構想を提示してくれる事を期待したい。
 
<メモ>
 中国寄りに見えるドイツのメルケル政権がどれほど真剣に対中政策であるインド太平洋構想を検討しているのか? シェトラージョーンズ博士はドイツだけでなくEU全体が中国に大きく経済依存している状況があり、他方でオーストラリアのケースを見ていると経済制裁と政治介入をする中国に懐疑心を持ち始めている、とのこと。ただし中国という名指しを避けているとのこと。確かに報告書では名指しをしていないが最近の日独国防大臣対談などでは名指ししている。
 ただし、今回の報告書が連邦政府としてオールドイツで作成されたことの意義が大きい上に、オランダがこの報告書に同意すると同時にEUの政策となっていることの意味が大きい。
 米国に関してはEUは米国にNATOにコミットして欲しいと思っており、米国の関心の高いインド太平洋に参加することが米国と共にある、というメッセージでもある、とのこと。他方ドイツは海軍力が弱いことと、歴史的背景から必ずしも軍の活動を支持する声ばかりではない。
(他にも色々面白い話をされてましたが思い出せません)