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<2021年第9回太平洋・島サミットへ向けて>最終案 

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<2021年第9回太平洋・島サミットへ向けて> 

 1.2018年の第8回島サミットでは太平洋島嶼国と海洋安全保障の問題がインド太平洋構想の枠組みで明確に示され、当該地域だけでなく日本を頂点とする米豪印のセキュリティダイヤモンド、さらには英仏を含む多くの国の地政学概念を方向づけました。

日本の主導力は、言葉だけでなく、オールジャパンで実際に小島嶼国も含む当該地域への具体的な動にも発展し、大きく評価されています。
 
2. 日本が、海洋安全保障を始めインド太平洋の空間をめぐるサイバー強化、宇宙作戦隊の創設、そして安全保障を意識した経済インフラ開発など、価値観を共にする国々との協力をさらに大きく進めていることも高く評価されます。
 
3 他方、昨年9月にはキリバスソロモン諸島が台湾から中国に外交関係を変更したり、バヌアツで何千冊ものパスポートが中国人に販売され、その一部は犯罪歴のある人物に渡り、パラオで越境犯罪活動が拡大、その影響が日本にも及ぶことが懸念されています。島社会の腐敗は、人身売買や麻薬中毒など島の子供達に被害が拡大する誘因になっています。2019年10月、30代の米国人女性弁護士がヤップ島で女性青少年の人権を守る中、島の人に射殺された事件を忘れるべきではありません。
 

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左上から時計回りにサモアパプアニューギニアミクロネシア連邦、トンガの首脳と習近平主席
 
4 インド太平洋研究会は、これらの問題に対応すべく、オーストラリア国立大学のインテリジェンス専門家、ジョン・ブラックランド教授が豪州政府に提案している太平洋島嶼国との「コンパクト」の議論を支持します。その際、オーストラリアの島嶼国支援体制を、また米国やニュージーランド、フランスが形成している太平洋の島々との政治的結びつき(自由連合、友好協定等)を、日本は海洋国家として積極的に支援すべきです。
 
5 1997年に開始した島サミットは日本とPIFの会合ではありますが、島嶼国政府は国家として機能するための、特に安全保障の面での限界を抱えていることから、現実のインド太平洋の安全保障、地政学の現実を考慮し、島嶼国の自決権を尊重する形で非PIFメンバーの米・仏・英・印にもオブザーバー参加を促すべきです。インド太平洋の空と海の空間はこれら大国を巻き込んでもなお広大であるからです。
 
6 薗浦健太郎衆議院議員が推進したオールジャパン体制は、強調しすぎることがないほど重要な戦略です。先の大戦の日本の敗北は全てセクショナリズムの弊害と言っても過言ではありません。3つのシーパワー:海自・海保・水産庁の連携を始め、省益優先の体質を改善すべく省庁間の人物交流を促進すべきです。特に中国の脅威に対応すべく安全保障が今以上に重要課題になることから、防衛省の参加を促しつつ、陸海空間の人物交流、さらには同盟国との交流も促進されるべきです。
 
7 現在日本政府はパラオミクロネシア連邦マーシャル諸島、トンガ、フィジーパプアニューギニア、バヌアツ、ソロモン諸島に大使館を、米領のグアム、マリアナ諸島、ハワイに領事館を設置していますが、各大使館・領事館にSNSを利用した情報発信を義務づけ、情報戦略を強化すべきです。
 
8 2020年5月7日に、米国の水産業再起を目指した大統領令が発信されました。そこには世界最大のEEZを抱える米国の自国産業の保護、安全な食品の確保、規制撤廃、透明な政策過程などが記され、さらに国際協力も書かれています。ハワイの水産業は日本人移民が開拓しました。現在もインド太平洋の漁業を担っている日本は、米国と協力し経済安全保障を強化すべきです。特に違法操業取締は、コロナ禍の中で海洋進出を強化する中国に対する海洋安全保障につながります。オバマ政権時代の科学的根拠のないOur Ocean事業支援を、日本政府は速やかに取りやめるべきです。

 

2020年6月1日

インド太平洋研究会 有志  (順不同)

渡辺昭夫(東京大学名誉教授)

フランシス・ヒーゼル神父(元NGOマイクロネシアン・セミナー代表)

David Ware (Retired Customs Officer/Analyst, Intel Focus on Pacific, Border & National Security)

榊原智 (産經新聞 論説副委員長)

江崎道朗 (評論家)

内藤陽介(郵便学者、作家)

稲村公望(日本郵便元副会長)

浅岡寧

澤間譲治(NPO 日本海洋塾理事)

下川原伸一郎

Kouyou Itou

Itaru Kaminari

高畠清

萩野美保

卒田理愛

木戸英明

周宏偉 (北海道大学 博士課程後期)

志賀弥生

早川理恵子(博士オタゴ大学)