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<平間洋一先生追悼>『第一次世界大戦と日本海軍ー外交と軍事との連接』(2)

f:id:yashinominews:20200421154347j:plain f:id:yashinominews:20200423075414j:plain イアン・ニッシュ博士

第一次世界大戦を知らずにインド太平洋を語るなかれ。

平間洋一先生を知らずにインド太平洋を語るなかれ。

 

既に鉛筆や赤ボールペンで書き込みをしてある「序章」をじっくり読みながら考えてしまった。

 

平間先生が指摘するように第一次世界大戦を知る人は少ない。それだけでなく日本の学者は日本が火事場泥棒をしたとか割って入った(京都大学の奈良岡先生の主張)と論文に書いているのだ。即ちその事が海外にも伝わっている。

平間先生はそのような認識を押さえながら、それでも日本は、海軍はこういう動きをしたと、詳細を追っている。

問題は、日本の保守論陣が誰もこの事を知らないのだ。平間先生の存在さえ自衛隊は知らない。平間先生を知っている自衛隊の方は一名しか会った事がない。知っているというのは議論をした経験がある程度の認識の事です。会っただけで知っているというのは偽物。

産経の佐野しんすけとかいうスポーツ専門記者は豪州海軍を守った「伊吹」の事は常識である、と私に対して知ったかぶりで威張っていたが、インド太平洋全域を日本海軍の軍艦が10隻以上配置されドイツから守った事実を知らなかったどころか私を嘘つき呼ばわりした。(忘れてたけど思い出しちゃった)

 

この序章の10頁だけでも外交交渉に使える情報が盛りだくさんなのだ。

例えば、火事場泥棒でも、割って入った訳でもなく、イギリスからの要請で太平洋だけでなくマラッカ海峡とインド洋を守った事が書かれている。

例えば、日本人ではなくイアン・ニッシュというイギリス歴史学者(ロンドン大学名誉教授。日本外交史、日英関係史)が第一次世界大戦で英国を守ったのはフランスよりも日本の海軍力である、と述べている事。日本の学者の主張であればバイアスを感じるであろうが英国の学者の主張であると言えば相手も耳を貸す。

実際歴史学者でない私はこのような断片的な情報を押さえて、キャンベラに臨み、日本の海洋安全保障とインド太平洋構想を動かして来たのである。これを産経の佐野とか鳥井(こいつも思い出した)のような「おまえに何がわかる」という態度を取る人が多い中で、平間先生はイケイケどんどん、と私の背中を押してくれたのだ。