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<平間洋一先生追悼>『第一次世界大戦と日本海軍ー外交と軍事との連接』(1)

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第一次世界大戦日本海軍ー外交と軍事との連接』は平間先生の指導教官、慶応大学池井優教授の紹介文章から始まる。

第一次世界大戦の研究ははやり少ないのだ。理由に第二次世界大戦ほど日本人との関係が少なく研究意欲をそそらならったからであろう、と池井教授書く。

 そして研究の3つの目的が整理されている。

 一つ目が日本海軍の作戦概要、国策への関与、国際社会への影響

 二つ目が海軍作戦と外交の連携

 三つ目が日本海軍作戦に対する英豪NZ米の反応と国際世論の形成

 

本文は序章を含めて七章から構成される。

序章では池井教授がまとめた3つの研究目的がさらに詳細に書かれているのだが第一次世界大戦の海軍の研究が少ない事が指摘されている。海軍の動きを知らなければ日本が旧ドイツ領の太平洋島嶼を獲得した背景は理解できない。背景だけでなく、その海軍作戦が英豪NZ米にどのような影響を与えたのか知らなければ、EHカーの言う「危機の20年」が南洋庁、即ち太平洋でどのように動いたのかも理解できない。

私はこの本を読むのは何度目かだが、全体を通して読んだとはまだない。論文や、記事、また実際の外交交渉の現場に臨むための交渉材料として事実を確認するために読んだ。

今回始めて通しで読む事となる。