第一回研究会の準備として、米連邦議会上院司法委員会・国内治安小委員会(通称マッカラン委員会)が1952年に作成したThe Institute of Pacific Relations Report (IPR報告書)の内容をご紹介します。
戦後の定説によると、マッカラン委員会による太平洋問題調査会(Institute of Pacific Relations、略称IPR)についての調査というのは、下院の非米活動委員会と並び称される「赤狩り」の代名詞みたいなもので、民主主義と言論の自由の敵、みたいなことがずっと言われていました。
ところが1995年に、アメリカ陸軍情報部がイギリスの情報機関と連携して第二次世界大戦中のモスクワとアメリカ国内のソ連工作員の通信を傍受・解読した記録、通称ヴェノナ文書が公開されたことで、「赤狩り時代の反共ヒステリーの産物」のように言われていた議会記録が、実は現代史、特にインテリジェンス・ヒストリーを解明するための貴重な情報の金鉱であることがわかってきました。
IPRは日本の戦前から戦後にかけての歴史にかなり重要な役割を果たしています。IPRは当時、アメリカ国内で最大のアジア太平洋地域に関するシンクタンクで、アメリカの対アジア政策の決定や、アメリカ世論の形成に、大きな影響を持っていました。このあたりの詳しいことは、江崎道朗著『日本占領と「敗戦革命」の危機』(PHP新書)や『日本は誰と戦ったのか』(ワニブックス新書)に書いてあるのでぜひご一読くだされば幸いです。
マッカラン委員会はIPRについて、1951年から52年にかけて、66人から証言を聴取し、2万点の文書を調べ、膨大な調査を行っています。その記録(Hearings)は5000ページに達します。Hearingsの内容を200数十ページにコンパクトにまとめたのがIPR 報告書です。尾崎秀実や西園寺公一の名前が出てきますし、IPRが対日政策に与えた影響も述べられています。でも残念ながら、HearingsもIPR報告書も、まだ邦訳はされていないようです。
Hearingsの方はさすがに膨大すぎるので、IPR報告書の内容をご紹介することにしました。
ちなみにHearingsもIPR報告書もネット上で読めます。(HathitrustのサイトでInstitute of Pacific Relations Hearings 、Institute of Pacific Relations Reportでそれぞれ検索すると出てきます。
簡略なメモで、まだちゃんと読みやすく整理できていませんが、IPR報告書の前半の内容のまとめがこちらにあります。
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追記です。今、要約メモは16まであります。以下のリンクからどれにでもアクセスできます。(2019年3月10日追記)