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より 昭和55年1月17日
2026年4月日本は豪州に、もがみ型護衛艦能力向上型次期汎用フリゲートを供与・輸出する形で合意・契約した。この日豪の防衛協力をめぐり多くの論説が出ているがみんなが忘れている歴史的背景を書いておきたい。筆者は東南アジアと太平洋島嶼国を1980年代後半から現場と学術研究の両面で関与してきたが、豪州の存在は常に関心を持って対処してきた。
APECを産んだ大平・フレーザーの汎太平洋構想
戦後の日豪関係は1976年の日豪友好協定に続き、大平首相の環太平洋連帯構想につながる。大平は同構想の英語タイトルをPacific Ocean Communityとしており、自由で開かれた共同体、そして太平洋島嶼国と海洋が意識にあった。豪フレーザー首相と合意し地域経済協力の枠組みAPECに発展していく。経済と軍事は一体であり、この度のもがみ協定も地域経済構想が背景にある。そして重要なのは日豪の2国間の関係に限定されないアジア太平洋、インド太平洋の安全保障の話であることだ。
アボットが安倍に打診した潜水艦
日豪の具体的軍事協力は安倍・アボットの蜜月時代に始まった。2014年アボットはそうりゅう型潜水艦の導入・協力を安倍に打診。同年4月のアボット訪日時には潜水艦関連技術の協力で合意している。その後展開はご存じのとおりだが、ターンブル政権下で、2016年フランスが選ばれた。 しかし2021年モリソン政権でフランスとの契約を破棄し、英米豪のAUKUSの枠組みで潜水艦が米国で建造される予定である。豪州は造船など地元産業保護の圧力が大きく、日本のもがみも将来的に豪州で造船される計画である。
2018年太平洋島サミットで海洋安全保障が議案
日本政府が1997年から3年おきに開催している「太平洋島サミット」。会議のカウンターパートは豪NZを含む太平洋島嶼国である。2018年の第8回同サミットで初めて海洋安全保障とインド太平洋構想が議案となった。すなわち日本がインド太平洋の海洋安全保障に出ていくマイルストーンとなり、その後日本の海上自衛隊は豪NZ、そして太平洋島嶼、アジア諸国と協力しインド太平洋派遣(IPD)を毎年開催している。その中で豪との防衛協力も進みお互いの信頼関係も醸成されてきた。
この40年、太平洋島嶼国を中心に日豪関係に関与し観察してきた筆者の視点である。今日の日豪防衛協力に連なるさらに多くの関連事項があるが、後日まとめたい。