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日本の皇室はインド太平洋を結んだ海洋民族オーストロネシア語族かも?

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エルヴィン・フォン・ベルツ、1876年から30年近く日本に滞在したドイツ人医師の研究は進んでいるのであろうか?昨年『ベルツの日記』を読んで色々な事が学べた。一番印象深かったのがベルツと近い関係にあった伊藤博文のヴィルムヘルム二世に対する長い、書簡だ。三国干渉に関する恨みを訴えたもの、である。それまでは日独関係は良好だったのだ。
ベルツの離日も、国内の反独感情が背景にあった。
 
さて、私がベルツを読みたいと思ったきっかけが新渡戸である。新渡戸はベルツの研究として、日本人が南洋から来たことを紹介している。新渡戸から「地方の研究」を示され、ジュネーブ国際連盟委任統治委員にこれも新渡戸の差配で招かれながら二人は徹底的な決別をした柳田國男。彼が『海上の道』を最後に書いたのは新渡戸に向けてではなかったかであろうか?それにしては科学がない、という印象を持っている。随分前に読んだので忘れてしまった。
 
さて、ベルツの日本人起源説の一つ。アイヌ、蒙古系に並んでマレー人、すなわちオーストロネシア語族の可能性が議論されている。
これは台湾で考古学を支援して来た国分直一先生も同様な議論を展開しているので、全く的外れとも言えないように思っている。
ベルツ、国分先生が、このオーストロネシア語族が数千年前には既に数千キロ、数百キロの海洋を往復していた事を知ったら、さらに興味深い議論を展開していたに違いなかろう。
 
ベルツの議論で重要なのが、マレー系移民、すなわちオーストロネシア語族は九州に落ち着き、日本全国を征服し日本人に王朝をもたらしたとする箇所だ。すなわち天皇家、神武はオーストロネシア語族であるとの見解。
ベルツは皇室の侍医で、その関係は非常に近かったし、ドイツはオランダ交易に参加して日本の歴史をよく知っていたのである。オーストロネシア語族フンボルトなどのドイツ人研究者が進めた。
新渡戸がベルツ博士のオーストロネシア語族起源説を語っていたので当時は比較的広く知られていたはずだ。そしてなによりも皇室は知っていたはずである。すなわち台湾の先住民が自分たちと近い民族であることを。。
今でも皇室が太平洋の島々に関心を持たれているのは、今はほとんど忘れられている、日本人のそして皇室のルーツ、オーストロネシア語族にご関心があるからではないか?と想像している。

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