インド太平洋研究会 Indo-Pacific Studies

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ドイツのインド太平洋政策(3)政策分野

メインであろう、約40ページの政策分野は7つの分野について各分野それぞれ4−5ページを割いて詳細が展開されている。

https://www.auswaertiges-amt.de/blob/2380514/f9784f7e3b3fa1bd7c5446d274a4169e/200901-indo-pazifik-leitlinien--1--data.pdf

https://www.auswaertiges-amt.de/blob/2380514/f9784f7e3b3fa1bd7c5446d274a4169e/200901-indo-pazifik-leitlinien--1--data.pdf

ドイツのインド太平洋政策の肝であろう。これもざっと読んで気になった箇所だけメモしたい。とっかかりで参考にしていただければありがたいが、今はグーグル翻訳でいくらでも読めるので真剣にドイツのインド太平洋政策を知りたい方は是非本文を読んでいただきたい。

1多国間主義の強化
2気候変動環境保護
3平和推進
4人権・法の支配
5公正で持続可能な自由貿易
6市場のデジタルトランスフォーメーション
7人物交流・文化教育科学

 

1多国間主義の強化 が強調されていることがこの政策の特徴であろう。興味深いのがインド太平洋地域の安保理は中国一国だけであると指摘し、ドイツはインド・日本と協調し安保理改革を推し進めようとしていること。

さらにアセアンとの関係強化を強調している。(アセアンを対象とした?)二カ国間ドナー第二位はドイツだったの?

後は前項で書かれた各種地域機関との協力がリピートされているだけ。

 

2気候変動環境保護 は前項とほぼ同じである。私はドイツの環境政策に懐疑的だ。緑の党の発祥の地がナチスであり、気候変動の主導して来たのがドイツだからである。ナウルを取り込んだGroup of Friends on Climate and Securityはきになる動きだ。後で確認したい。

 

3平和推進 を読むとインド太平洋にはこれだけの安全保障問題があったのか、それをドイツはEUは認識しているし、様々な角度から関与しているのかと新鮮な驚きでした。気になったのが最後のパラグラフ。NATOとしてインド太平洋に関与したい、という箇所。インド太平洋のNATO版の意見も出て来ているがどうであろうか?

 

4人権・法の支配

ドイツが語る法の支配と人権に違和感を持ってしまうのは私の無知と偏見でしかないと思う。しかしあのホロコーストを経験したドイツだからこそ、ウイグル問題やなんやらに具体的に取り込めるのではないか? わからない。インド太平洋の問題を挙げられただけではなんとなく説得力がない。

 

5公正で持続可能な自由貿易 

全体的に中国に配慮しつつも多様化を目指す、という内容

下記の中国に関する箇所が重要では? 

China alone accounts for roughly one third of global economic growth. To the German economy, the country is extremely important. Nearly 50 percent of German foreign trade in the Indo-Pacific region is with China. Both sides benefit from this. China is also the most important trading partner for Indo-Pacific countries. That said, efforts should focus on harnessing the potential of the Indo-Pacific region as a whole.

ドイツのインド太平洋での50%の貿易は対中国。しかし、インド太平洋全体に貿易経済を拡大すべきだ。

 

The EU is currently engaged in negotiations with Australia and New Zealand on respective free trade agreements.

オーストラリア、ニュージーランドと新たな貿易協定の協議。

 

すでに進められているアセアンとの貿易、経済協力の記述が大い。

 

The Federal Government supports the EU’s efforts to negotiate a comprehensive and ambitiousinvestment agreement with China, which have been under way since 2013. This agreement is intended to reduce current asymmetries with regard to market access, guarantee fair and non- discriminatory terms of competition, modern investment protection and compliance with sustainability standards.

さらに、中国。EUとしても中国と非対称的な経済関係を改善していきたい。。

 

6市場のデジタルトランスフォーメーション ここは私の専門範囲なので。。まずは通信インフラの整備。バックボーンの整備。インフラってメンテも必要なんです。中国が一帯一路でこれをやってきた、やろうとしている。費用対効果で西洋諸国は後ろ向きだったんです。でも中国のおかげでそんな事をいってられない。卵が先か鶏が先か?インフラ整備するればそれなりに経済は動く。問題は法の整備。インフラが整備されればサイバー犯罪もおこる。国家レベルの安全保障の問題も。。ドイツがここにどのように関与できるのか?いや日本がドイツに何を求めるのか?という話ではないだろうか?

 

7人物交流・文化教育科学

この項目も前項とそれほど違いはない。ゲーテインスティツートに通っていた自分としてはドイツ語や文化、科学、歴史に触れる機会が多くのなるのは歓迎したいし、第一次世界大戦でドイツを追い出した後に実は日本はドイツ兵から多くを学んでいることなどもこの機会に両国で再確認してほしい。ベルツの功績も。ナチスのせいでドイツが失ったインド太平洋のドイツの歴史を知ることは重要だ。