土地を意味する ”Vanua”
バヌアツの国名となったこの言葉は「オーストロネシア語族」に属します。このオーストロネシア語族の人々は5千年前頃、台湾あたりから船で、西はマダガスカルまで、東はイースター島まで拡散した海洋民族です。
バヌアツの人々はその海洋民族の末裔。
各地の「土地」を表す言葉
バヌアツ Vanua
バリ Banua
フィジー Vanua
マオリ Whenua
ハワイ Honua
トンガ Fonua
海洋民族、オーストロネシア語族のインド太平洋の拡散から数千年後、広大なインド太平洋を結ぶ言語の共通性に最初に気がついたのがジェームズ・クック船長(1728年 - 1779年)。ヨーロッパの航海時代の幕を開けたポルトガル、スペインの航海と英国クック船長の航海の違いは何でしょう?
クック船長のエンデバー号はイギリスの王立協会、Royal Societyから科学調査の依頼を受けて出帆しました。ポルトガル、スペインの航海時代と違って、その目的は資源や土地の確保だけでなく、科学の探求があったのです。この時収集された各地の言葉の情報を参考にドイツのカール・ヴィルヘルム・フォン・フンボルト(1767年 1835年)が言語学を形成します。文字を持たないオーストロネシア語族の人々の歴史・文化が西洋人によって文字に記され始めたのです。
バヌアツの独立前の名前ニューヘブリディーズ諸島は、クック船長によってつけられました。ここは次回書きます。
クック船長と金星観測記録
James Cook and the Transit of Venus | Science Mission Directorate より
インド太平洋の研究がヨーロッパ諸国では18世紀初頭から行われ、それが記録され、学問として体系化していった。インド太平洋研究はヨーロッパにあることをJapan Forwardという英文のメディアに以前書かせてもらいました。
日本は蚊帳の外だったのでしょうか?鎖国時代、オランダとの貿易の中で、インド太平洋の学問はどんどん日本に入っていた、と想像しています。
日本語にオーストロネシア語があると崎山理先生が『日本語「形成」論 日本語史における系統と混合』(2017年、三省堂)という本で議論されています。日本語はオーストロネシア語族とツングース語の混合、であるとの説です。
そうであれば私たちのご先祖様がバヌアツ人のご先祖と数千年前にどこかでつながっていたかも、と想像するのは楽しい事です。
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